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自転車かいぼー学

「ネジ」のはなし 自転車のコツは全部ネジにある?!

 モノを組み立てる方法はいろいろある。自転車に関してはフレームは溶接や接着…これは普通の人がどうにかなる問題ではない。ではそのフレームに部品を組みつけていくのはほとんどが「ネジ」によって組み立てられていると言っていいだろう。ということはこの「ネジ」のことを知れば自転車のコツがヨークわかると言うことなのだ。というわけで自転車のコツをぜーんぶ教えちゃおう。

自転車のチェーンが右側にあるわけ
 おっと、いきなりなんでチェーンの話になってしまうのか?とびっくりした人も多いと思う。ところがこれはネジとふかーい関係があるのだ。実はネジと言うものは「右ネジ」が基本なのだ、と言うより最初に発明されたのが右回しだった。これは「時計回り」にまわせば締まるネジのことだ。が、なんで右回しが締まる方向に決まったのかは、右ネジは地球上に住む人で右利きの割合が郡を抜き多いわけで、その右利きの人が考えたまわしやすい方向だったと考えられている。事実英語で右ネジのことを「right hand」という。

 まー右ネジの起源はココまでとして、チェーン駆動の自転車が考えられたとき、車輪に駆動伝達用の小ギアを取りつけるの方法として最初は「一体式」かクザビみたいなものを打ち込んで止めたかはわからないにしても、進化の過程のどこからかからは「ネジ式」によって小ギアを取りつけていた。そのときのネジ方向が「右ネジ」だったのだ。つまりこの構造で左側チェーンでは駆動と同時に小ギア回って外れてしまい、進むことが出来ない。つまり必然的に程まる方向に駆動力をかける必要があったのだ。これが自転車のチェーンが「右側」の理由なのだ。

補足:時計回りとは?
 時計回りの右回りはネジ云々の構造学上の問題ではなく「北半球の日時計の指針(影)の回る方向」からきている天文学的な太陽の運行の問題でーした。

自転車に使われている「逆ネジ」
 前記の話では右ネジは由緒正しきネジの直系!みたいな話から入ってしまったが、世の中右ネジだけですべて丸く収まると思ったらそうはいかなかった。いろいろな機械が作られていく過程でいろいろ不都合が出てきたわけだ。それは「構造上必然的にネジが緩んで外れてしまう」ことが部分部分で起きてしまった。自転車もまた例外ではなく左ペダルがこいでいるうちに外れてしまったのだ。これは回転部にベアリングが入っているとはいえ、と言うよりベアリングのせいで多少なりとも緩む方向にじわじわ回転力が掛かってしまい緩みがおきてしまう。そこで外れないようにするにはネジを逆にすればよいわけだ。つまりペダルは右は右ネジ左は左ネジになったのだ。一見覚えにくそうだが、駆動系の回転方向から見れば対称になっているわけだ。
 またチョット代わったところでクランクシャフトを支えるボトムブラケットワンなのだが、BSC(JIS)右ワンがペダルの理屈と同じように逆ネジになっているのだが、イタリアンとフレンチはなぜか右ネジのままなのだ?じゃー特別な構造になっているかというとそう言うわけでもない。回転数もペダルと同一条件だし入力負荷も同じ?違うのは径だけだ。これはフレンチとイタリアンが不合理なのではなくて、ネジ径がペダルより大きい分、その径が分母になるため、緩みが出る影響がペダルより少ないということなのだ。が、やはりいいかげんな道具で取りつけるとやはり「緩みやすい」コトは違い無い。

補足:BBの規格
●Italian 36piX24F
 径が36ミリでネジのピッチが1インチ当たり24山・どちらも右ネジ
 イタリアからくるロードはすべてこの規格
●Frenchi M35X1
 径が35ミリでネジのピッチが1ミリピッチ・どちらも右ネジ
 これはほとんど見たこと無いが、プジョーなんかはこれ!
●BSC 1.370"X24Tpi
 径が34.89ミリでネジのピッチが1インチ当たり24山・右側のみ左ネジ
 国産はBSC規格を採用。それとマウンテンバイクはほとんどこの規格
 ただし、一部全幅が違うものやまったく機構が違うものがあるので注意!

ボルトとナット
 「ネジ」と一言で言うが、棒状のネジをボルト(オス・雄ネジ)、反対に雌ネジで単体部品をナットと言う。母材の方に雌ネジが付いている、たとえばフレームにくっついているボトル台座(*1)などはナット呼ばない。そして雄ネジ外径が5ミリならM5と呼ぶ。同様に6ミリならM6…基本的にはメートル基準でM5ならピッチ(ネジの山と山の間隔)は0.8ミリでP0.8と表記。たとえばM5って書いてあったらM5のP0.8を標準ネジのことをさす。ほかに細目ネジなどの規格もあるが自転車では後ろ変速機の取り付けブラケットネジこれはM10P1の細目ネジ(通常はP1.25)。それより大事なのは自転車はインチネジも多く使われており、ざっと挙げると前輪軸、後輪軸、BBなど「なんでいまどき規格統一されないのか?」なんて話もあるが、進歩の過程で自然淘汰されていったり、まーいろいろあってそこがまた奥がふかーい!家だってメーターモジュールの家があるけどやっぱり「尺」が一般的だ。そして「管(フレームパイプ)」、フランスはメートル法だがこれはインチが幅を利かせている。ミリ表示で25.4パイとか言うけどこれは1インチ、28.6なら1と1/8インチ、31.8なら1と1/4インチなど、ひえー。それとボールベアリングはぜーんぶインチ表示!

うーんややこしくなってきた!!。けど考えてみても、ゴルフだって一度メートルになったけどヤードに戻ったし、いくら通貨統一で「ユーロ導入」になっても「ISO」で世界的に単位系が統一されても、杓子定規ではかれないのが慣行的に淘汰されてきた「規格」なのだ。イタリアン、フレンチ、BSCとヨーロッパ統一なんてまだまだ先の話なのだ!!!余談ではあるが「ミリバールからヘクトパスカル」のように国際単位系でこの業界に影響が出たのはトルク表示。いままでkgf・cmだったのがN・mになったぐらいなのだが、イコールではないから困ったもんだ。今までは「25kgf・cm(現場では25キロって略す)!」なんていってたのが「2.5N・m(現場では2.5ニュートン?!?!)」なんて…あー慣れないったらありゃしない!!!(*2)

(*1)ボトル台座:水筒をとりつけるための金具(ボトルケージ)をとりつけるために、フレーム直付けされたとりつけ穴。
(*2) 1kgf=9.8N つまり近似値として10Nで置き換えている

プラス頭とマイナス頭
 これは日本独自の呼び方で英語では、マイナスはフラット、プラスはフィリップが正解。起源はフラットが先。だけど大量生産時代に入り自動工具(トルクリミッターのついた自動ドライバー)を使うようになってフラットではビット(ドライバーの先)の中心が決まらず効率良く作業が出来ないので考えたらたのがプラス=フィリップなのだ。そうあの「電気屋さんフィリップ」なのだ。と言うことで手で締めやすいのは実はマイナス頭の方が締めやすい。プラスア頭はドライバーをネジに向かって押す力が弱いと、頭からドライバーが外れてしまう。下手すると「頭をなめる」(溝が壊れてしまう)。それと以外と知られていない、ドライバーのサイズ。まあ細かいことは言わないが、特にフィリップネジはサイズを合わせないと「ちゃんと締めることが出来ない」。特に変速機の調整ネジなどは細かいので注意ちゅうい!

規格の話ついで「アーレンキー」
 通常六角頭のボルトやナット等、ネジ側がオス(凸)、工具の方がメス(凹)なのだが、最近では六角くぼみ頭のボルトも多く使われるようになってきた。これに使う工具が「アーレンキー」。これは正式名称は「ヘキサゴンレンチ(日本名:六角棒レンチ)」。一部の業界しか通用しない俗称なのだ。ただしこの呼び方はナイターみたいな日本製英語ではなく、世界中の輪界で通じる不思議な英語なのだ。通常の英語体系では工具類は「レンチ」を使用するのが慣わしである。「差込む」動作を伴う「キー」を使うが「キー」は通常工具の意味は含まない。うーんまあ米語英語間の「許容範囲」と言うことなのだと思う。ではのこの「アーレン」は何なのか?人名かメーカー名か?うーんわからない!

余談:「バールのようなものでこじ開けられ…」
 これって泥棒さんのニュースだけどこの「バール」。この「バール」の発音にギョーカイの人はフランスの「VAR」と言う工具メーカーの名称を連想すると言うより直結!VARは自転車専用工具も製造している専門工具製造メーカーなのだ。「あのバールは、このVARうんぬん・・・」なんて冗談が出たらあなたも立派にギョーカイ君!
VARにしてみりゃいい迷惑?

予備知識はここまで。次はいよいよ具体的なコツにせまる!


Copyright : Junichi Morita とプロジェクトK(イラスト:五十嵐 晃)

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